労働安全衛生法では、日々の清掃活動に加えて、大掃除の実施も規定されています。
それは、「6か月毎に1度」、つまり最低でも年に2回は大掃除を行うことが要求されているのです。日常の業務に追われている経営者にとって、年に2回も大掃除を行うというのは困難な課題かもしれません。
この記事では、会社で大掃除を行うための準備を始める際に、そのスケジューリングとどの部分を掃除するかの決定方法、そして必要な掃除道具など、大掃除を円滑に進行するための重要なポイントについて詳しく説明します。
会社の年末大掃除を計画する際の確認事項
会社の大掃除を円滑に進めるためには、事前の計画立案が不可欠です。これにはスケジュールの調整やどの部分を掃除するかの決定など、全体的な視点からの戦略策定が求められます。
特に、掃除を行う範囲の決定は予算にも影響を与える重要な要素です。自分たちで手がける部分については、必要な掃除道具を把握し、足りない道具があれば購入すること。また、エアコンの清掃など専門の技術が必要な部分は、プロの業者に依頼することも考慮に入れるべきです。その場合は、事前に見積もりを取るなどの準備作業も忘れてはなりません。
ここでは、会社の大掃除を実行するまでに確認すべき詳細な項目についてご説明します。これを参考に、各自が行うべき作業を明確にし、大掃除を成功させるための計画を立ててみてください。
スケジュールを決めましょう
年間を通じて、大掃除をどのタイミングで行うべきかを決めることは大切です。多くの人が年の終わりを選ぶかもしれませんが、健康と安全を保つために労働安全衛生規則では少なくとも年に2回実施することを推奨しています。ですから、年末以外のタイミングも考慮に入れるべきです。
大掃除に最適な時期について、清掃専門の会社からの見解は夏から秋にかけてということです。
この期間は、水が冷たく感じにくいため、雑巾を使った掃除がしやすいです。また、気温が高いと油よごれも取り除きやすいので、5月から9月までの間に大掃除をスケジュールに入れることを検討してみてください。
掃除の場所チェックリスト作成
掃除する場所をすべて網羅するためのチェックリストを作成しましょう。そして、それぞれの場所について「誰が担当するのか」を明確に決定します。このようなチェックリストを作ることで、どの場所も見落とすことなくきちんと掃除することが可能となります。また、「誰がどこを掃除するか」を決めることによって、担当が明らかになり、全員で効率よく作業を進行することができます。
さらに、各場所で掃除に必要な時間を事前に見積もることも重要です。それにより、作業が予定時間内に終了するように、人員の配置やスケジュールの調整がスムーズに行えます。これらの準備をしっかりと行うことで、掃除作業がより効率的かつ効果的に進行することでしょう。
掃除用品の準備をする
大掃除という大仕事に立ち向かうためには、各掃除場所に適した掃除用品の準備が欠かせません。掃除をスムーズに進めるためにも、必要な掃除用品をあらかじめリストにまとめ、手元にないものは大掃除の日を迎える前に購入しておくことをおすすめします。主に必要となる掃除用品を下記に列挙します。
・掃除機または箒:床面の大掃除には欠かせないアイテムです。
・床用モップ:広範囲の掃除に役立ちます。
・埃用ハンディモップ:細かい部分の掃除に便利です。
・バケツ:水や洗剤を入れるために必要です。
・ブラシ:汚れをこすり落とすのに使用します。
・雑巾:床や家具の拭き掃除に使用します。
・各所専用の洗剤:汚れの種類や場所に応じて選びます。
・ゴミ袋:掃除で出たゴミを捨てるために必要です。
…等々。
これらのアイテムを揃えておけば、大掃除当日になっても慌てることなく、効率的に掃除を進めることができます。
大掃除開始前に確認するべき事項
掃除における基本的なルールは、「上から下へ」及び「奥から手前へ」という原則に従うことです。
これは、例えば天井や照明器具、棚の上部など、高い位置に溜まった埃を落とした後に、床部分の掃除を行うことで、部屋全体を効果的に綺麗にするための工夫です。この基本原則に則って、どの場所から掃除を始めるかを決定すると、作業をスムーズに、そして効率よく進めていくことが可能となります。
さらに、大掃除を開始する前には、不要な物品を適切に処分することが重要です。使用しなくなったデスクやチェア、棚などの家具や備品を処分することで、掃除を行うスペースをより広く確保することができ、結果的に大掃除の作業時間を短縮することに繋がります。これらのことを事前に確認し、準備を整えることで、大掃除をより効率的に、そしてスムーズに進めることができます。
各場所毎の大掃除のポイント
床
床の材料は、会社や施設によってまちまちで、タイルカーペット、フロアタイル、フローリング材など、様々な種類が存在します。各自の床材に適応する清掃方法を採用することが、床維持の重要なポイントとなります。
具体的には、タイルカーペットの床材が使用されている場合、ブラシ機能が付属した掃除機が最適です。この理由は、ブラシがカーペットの繊維を立て上げ、その逆方向に掃除機を動かすことで、より深い部分の汚れを吸引できるからです。カーペットの繊維が寝てしまうと、掃除機は表面をなぞるだけであり、繊維の間に潜んでいる微細なゴミまでは吸い取れないのです。つまり、繊維を立てるためのブラシを用いて掃除することが、床を清潔に保つための大切なポイントとなります。
また、床にシミができた場合は、シミ取り剤を用いて取り除きます。ただし、漂白剤はカーペットの色を落とす可能性があるため、色味のあるカーペットの場合は、除菌用アルコールや中性洗剤を用いてシミを取り除くことを推奨します。これらは色落ちを引き起こすことなく、安全にシミを除去することができます。
窓ガラス・ブラインド
窓ガラスのお手入れについて説明します。まず始めに、窓ガラスの上部からスタートして、コの字を描くように水で拭きます。その後、乾いた布で水分をしっかりと拭き取ります。特に汚れが目立つ場合は、アルカリ電解水などの洗剤を使用すると、窓ガラスをピカピカにすることが可能です。
次に、ブラインドの掃除についてお伝えします。ブラインドの羽根部分には細かい埃が付着しがちで、通常の雑巾では完全に拭き取るのは難しいかもしれません。しかし、清掃業界でよく使われているマイクロファイバーのクロスを使うと、洗剤を使わずともしっかりと汚れを落とすことができます。
最後に、高所の掃除には細心の注意が必要です。事故を防ぐためにも、安全を確保してから作業を始めるようにしましょう。高所作業はリスクが伴うため、十分な注意を払いながら掃除を行ってください。
エアコン
エアコンは日頃のメンテナンスが大切です。特にビジネスの現場でよく見かける天井埋め込み型のエアコンの場合、自分たちで手がけることができるのがフィルターの清掃です。フィルターの清掃はまず掃除機を用いて埃を取り除き、その後中性洗剤を使って手洗いします。洗浄後はしっかりと陰干しで乾燥させ、再びエアコンに取り付けます。
ただし、フィルターの清掃頻度は、それぞれの企業や業種による違いがあります。一般的なオフィス空間、例えば事務所や執務エリアなどでは、年に一度の大掃除の際に行うのが一般的です。もし可能であれば、エアコン全体の洗浄と同時にフィルターの清掃も専門の清掃業者に依頼するのがベストです。
一方、飲食店や工場のように埃や煤煙、油汚れが多い場所では、月に一度はフィルターの清掃が必要となります。汚れが蓄積されると、エアコンの効率が悪化することもあるので注意が必要です。エアコンの各パーツの洗浄も、適切な間隔で定期的に行うべきです。
エアコンのパーツ洗浄は、エアコンを分解し、高圧洗浄機やスチームクリーナーなどの専用機器を使用して内部まできれいにする作業です。これは専門の清掃業者が提供するサービスの一つです。自分たちで行おうとすると、取り付けミスなどでエアコンが故障する可能性もあるため、専門業者に依頼することをおすすめします。
トイレ
オフィスの清掃を行う際には、業者に一任することもありますが、自社のオフィスを所有している企業は、スタッフ自身が清掃作業を担当することも珍しくありません。
特にトイレの清掃は、その細部に至るまで注意深く行う必要があります。便器の縁などは汚れがたまりやすく、見落とさないように徹底的に掃除することが一つの重要なポイントとなります。
また、温水洗浄便座の使用が一般的な現代では、ノズルの掃除も重要なポイントとなります。洗浄ボタンを押すことでノズルを露出させ、その表面の汚れを丁寧に拭き取ることが求められます。もし汚れが固くてなかなか落ちない場合は、歯ブラシなどを用いて優しく擦ると良いでしょう。ただし、掃除時に力を入れすぎるとノズルが破損する可能性があるため、その点は十分に注意が必要です。
そして、洗面台においても、水垢やシミの除去は欠かせない作業となります。蛇口についても、クエン酸を用いて拭き上げるなどして、きれいに保つことが大切です。
廊下・階段・玄関ホール等
廊下や階段、玄関ホールといった共有スペースは、ビジネスの現場でも従業員自身が掃除を担当することがあります。
特に廊下や階段の掃除は、「上から下へ」という基本的な原則に基づいて行われます。具体的には、まず窓枠やサッシについた埃を取り除き、それから床面の掃除に移るという順番で行います。これにより、掃除したばかりの床に再度埃が落ちるという二度手間を避けることができます。
また、訪問者が最初に足を踏み入れる玄関ホールは、人々の行き来で埃やゴミが集まりやすい部分です。そのため、隅々まで入念にチェックしながら掃除を行うことが求められます。特に窓の掃除については、内側だけでなく外側もきちんと行い、光がきれいに入る空間を保つことが大切です。
まとめ
企業の大掃除は、日常では目を向ける機会の少ない場所も含め、一隅から一隅まで丹念に綺麗にする作業であり、予想以上に手間がかかります。全てを網羅するためには、確認項目をリストアップし、それぞれの担当を明確にするなどのアイデアが求められます。加えて、このような事前の準備にはスケジュールの調整も不可欠であり、計画的なアプローチが重要となります。
この負荷を軽減するための一つの方法は、掃除を外注することです。大掃除はもちろん、日々の掃除も効率的に進行させることが可能となります。これらのサービスを利用することで、掃除の作業効率を向上させ、スムーズに業務を進めることができます。