オフィス清掃を怠ると法律違反に? ―オフィス清掃は事業者の責務である― 【港区・千代田区・中央区・品川区】

オフィスを常に清潔な状態に保つことは、従業員の心身の健康を守るために非常に重要です。会社の経営者や従業員の健康管理に関わる総務・人事の担当者の方々は、日頃からこのことを意識されていることでしょう。しかし、この清掃が法律や省令によって明確に定められていることをご存知でしょうか?

実際、オフィスを清潔に保つことは『労働安全衛生法』という法律により、事業者が果たすべき義務として規定されています。オフィス清掃を軽んじると、法律違反という深刻な問題に発展する可能性もあるのです。

国が法律や省令で重視しているオフィス清掃の重要性について、今回は詳しく解説いたします。この法律に基づいた清掃の必要性を理解し、オフィス環境を整えることがいかに大切かを一緒に確認していきましょう。

企業は職場の清潔さを維持する義務がある(労働安全衛生法)

労働安全衛生法という法律により、事業者には以下の2つの義務と目標が課されています。

まず一つ目は、職場を常に清潔に保つことが事業者の「義務」とされています。これは従業員が安心して働ける環境を整えるための基本的な取り組みです。

次に、職場の快適さを維持管理することが「努力目標」とされており、これは従業員が心地よく仕事ができるような環境を作るための方策です。

このように、経営者や全ての従業員が協力して清潔で快適なオフィス環境を作ることが非常に重要です。清掃が行き届いていて、衛生的なオフィスであることが求められます。例えば、切れたままの照明が放置されていないことや、職場の温度が適切であることなど、従業員が快適に業務を行える環境づくりが必要です。

このようなことは当然のことと思われるかもしれませんが、その当然を日々維持し続けることは意外に難しいものです。だからこそ、法律でその重要性が強調されているのです。

この法律は『労働安全衛生法』と呼ばれ、働く人々の安全と健康を守ること、そして快適な職場環境を促進するために制定されています。

特にオフィス清掃に関しては、法律で以下のように定められています。

23条では、事業者は就業現場を清潔に保つための適切な措置を講じる義務があります。

71条では、事業者は作業環境を快適な状態に保つための努力を惜しむことなく行うべきとされています。

これらの法律の詳細については、厚生労働省のホームページから確認することが可能です(労働安全衛生法:昭和47年6月8日法律第57号)。

職場の清掃は日々行い、半年に一度の大掃除も必須(労働安全衛生規則)

職場の清掃作業について具体的にどのようなことを行えば良いのでしょうか。実は、法律で定められている清掃のポイントが2つあります。

  1. 職場の毎日の清掃
  2. 半年に一度以上の徹底した大掃除と害虫駆除

毎日オフィスを清掃していても、どうしても手が届かない場所や積み重なった汚れというものは避けられません。そうした箇所は、定期的に大掃除を行うことでしっかりと取り除くことが可能です。日常清掃と定期的な大掃除の双方が欠かせないということを、多くの経営者や清掃担当者の方々は経験的に理解しているかと思いますが、実はこれは法律によっても義務づけられているのです。

これらの義務を定めているのが『労働安全衛生規則』です。この規則は『労働安全衛生法』を実施するために、具体的な行動指針を示しています。その中の第3編第7章「清潔」において、事業者は日常の清掃に加え、6ヶ月以内ごとに一回、大掃除と害虫対策を定期的に行わなければならないと明記されています。
出典:厚生労働省のホームページ(・労働安全衛生規則(◆昭和47年09月30日労働省令第32号))

事務所は毎日の清掃と半年に一度以上の大掃除が必要です(事務所衛生基準規則)

オフィスの中でも特に「事務所」に関しては、特別な省令によって清掃基準が定められています。この省令では、事務所の清掃に関して以下の2つの重要なポイントが強調されています。

①職場での日常的な清掃

②半年ごとに1回以上行う大規模な清掃と害虫駆除

これを見てお気づきかもしれませんが、これらの内容は『労働安全衛生規則』で説明されたものと同様です。つまり、事務所だけでなく、事務所以外の共用部分や工場、店舗などでも同じ基準が適用されます。必要なのは、日常的な清掃と定期的な大掃除の両方を実施することなのです。

この事務所に特化した省令は『事務所衛生基準規則』と呼ばれており、先ほどの『労働安全衛生規則』と同様に『労働安全衛生法』を実施するために具体的に何を行うべきかを示しています。

第15条では、事業者は日常的な清掃を行うことに加え、最低でも6ヶ月に1回の大掃除と害虫駆除を定期的に実施しなければならないとされています。
出典:厚生労働省ホームページ(・事務所衛生基準規則(◆昭和47年09月30日労働省令第43号))

『労働安全衛生法』には罰則が設けられています

『労働安全衛生法』には、違反した際に罰則が適用される規定が存在します。この法律に違反すると、懲役刑や罰金が科せられる可能性があるのです。また、『労働安全衛生規則』や『事務所衛生基準規則』は、『労働安全衛生法』を具体的に実施するための詳細なルールとなっています。これらの規則を守らないことも、『労働安全衛生法』の罰則対象になることがあります。

オフィスでは日常的な清掃や、最低でも半年に一度は大掃除を行う必要があります。

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『労働安全衛生規則』や『事務所衛生基準規則』を遵守していない

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『労働安全衛生法』に違反している状態

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懲役刑や罰金を科される可能性がある

オフィスの清掃を法律で定められた頻度で実施しないと、懲役や罰金といった厳しい罰則を受けることがあります。このような罰則が設けられていることからも、国がこの法律を非常に重要視していることがわかります。オフィスの清掃がいかに大切かを理解できますね。

第119条では、違反した場合に6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるとされています。

オフィス清掃が法的にも非常に重要であることを理解いただけましたでしょうか?この法律は、労働者の安全と健康を守るために制定されています。事業者には、従業員の安全と健康を確保する義務と責任が課せられています。オフィスを適切に清掃し、従業員が心身共に健康に働ける環境を整備しましょう。