清掃業務に興味を持つ方々は、おそらく「掃除技術が優れていること」や「きれいに仕上げること」が重要だと考えていることでしょう。確かにこれらも大切な要素ではありますが、それ以上に重要なのは、清掃スタッフとして「適切なマナーを守ること」や「礼儀正しく行動すること」なのです。実際の現場では、こうしたマナーや行動が求められる場面が数多く存在します。そこで今回は、清掃の仕事に興味をお持ちの皆様に向けて、清掃業務でどのようなマナーが求められているのか、そして接客の頻度がどの程度あるのかを詳しくご説明したいと思います。
掃除の仕事ではマナーが非常に重要!
オフィス清掃の現場で最も重要なことといえば、「清掃の仕上がりが美しいこと」と考える方が多いでしょう。しかし、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に重要視されるのが「マナー」です。

たとえば、非常に優れた清掃技術を持ち、どんな場所も完璧に磨き上げてくれる清掃スタッフAさんがいるとします。しかし、もしそのAさんが以下のような態度を取るとしたら、どのように感じるでしょうか?
・挨拶をしても返事をしない
・会議が行われている部屋のすぐ横で掃除機をかけ始める
・いつも通路をふさぐ場所に清掃用具を置いている
どんなに清掃の仕上がりが良くても、このような対応をしてしまうと、お客様に不快な思いをさせ、クレームに発展することが多くあります。清掃におけるマナーには、挨拶や身だしなみといった基本的なものに加え、周囲の状況に配慮した行動をすることなど、現場に応じたさまざまな要素が含まれています。
これらのマナーを守ることは、お客様の安心・安全を確保し、また信頼関係を築くことにもつながります。お客様と信頼関係が築ければ、現場の雰囲気が向上し、困った時に相談しやすくなったり、感謝の言葉をいただくことが増えたりして、仕事がさらにしやすくなります。
清掃において「マナーを守ること」は、お客様にとっても、清掃スタッフにとっても非常に大切なことなのです。
清掃作業に接客はほとんどない=「礼儀を無視しても大丈夫」というわけではない!
清掃のお仕事は、販売スタッフや飲食店のホールスタッフと比べると、直接お客様と接する機会は非常に限られています。このため、接客が苦手な方には向いている職種と言えるかもしれません。しかし、接客の機会が少ないとはいえども、お客様に対して挨拶や声をかける場面は必ずあります。むしろ、接客の時間が短いからこそ、「挨拶の方法」や「身だしなみ」といった基本的なことが、そのまま良い印象を与えるかどうかを左右します。したがって、接客が少ないからといって油断せず、清掃スタッフとしての礼儀や立ち居振る舞いを日ごろからしっかりと意識しておくことが非常に重要なのです。
清掃業務における重要なマナーとは
清掃業務においても、礼儀作法は非常に重要です。この記事では、清掃の仕事を行う際に心掛けておくべきマナーについて詳しくご紹介いたします。

①挨拶の大切さ
清掃業に限らず、どの職業でも基本的なマナーとして「挨拶をすること」が求められます。「おはようございます」「お疲れ様です」「ありがとうございます」「申し訳ございません」といった挨拶は、相手に良い印象を与えるために欠かせません。清掃スタッフは接客の機会が少ないため、挨拶一つで相手に与える印象が大きく左右されることがあります。心のこもった挨拶は、相手を尊重しているというメッセージを伝え、安心感をもたらします。逆に、挨拶をしない、あるいはぶっきらぼうな態度をとると、「常識がない」と思われたり「感じが悪い」と判断されることがあります。挨拶は人間関係の土台を築くための基本ですので、意識して行うように心掛けましょう。
②身だしなみの重要性
見た目がすべてとは言いませんが、仕事における身だしなみは非常に重要です。特に清掃の仕事では、清潔感やプロとしての意識を示す大切な要素となります。清掃スタッフの制服が汚れていたり、悪臭がする場合、「この人に任せて大丈夫だろうか」と不安を抱かせてしまうかもしれません。また、長い髪を束ねずに作業をする、爪を長く伸ばしているなどは、「本当に掃除をする気があるのか」と思われる原因となり得ます。お客様からの信頼を得るためには、仕事にふさわしい身だしなみを心掛け、不快感を与えないように清潔感を保つことが大切です。
③お客様への配慮ある「声かけ」
作業中には、周囲の人々に配慮した「声かけ」が必要となる場面があります。例えば、病院での清掃作業では、病室に入る際に「お掃除に入ってもよろしいでしょうか?」と必ず確認の声をかけます。オフィスビルの清掃でも、従業員の方がいる部屋を掃除する際には同様の声かけが必要です。また、「床が少し濡れているのでお気を付けください」や「今拭きますので少々お待ちください」といった声かけも状況に応じて行います。大切なのは、周囲の方々の立場に立って配慮のある言葉をかけることです。お客様に対して失礼がないように、そして不安を与えないようにするために、こうした声かけは非常に重要です。
④お客様を優先する行動
清掃スタッフにとって最も重要なマナーの一つは、お客様を優先する行動を取ることです。「お客様優先の行動って具体的にどういうこと?」と思われるかもしれませんが、例えば次のような場面が該当します。トイレを清掃中にお客様が入ってこられた場合には、作業を一旦中断して「どうぞお使いください」と案内し、空いている箇所から作業を再開します。また、電話中の方のそばで掃除機をかけない、通路を塞ぐような場所に清掃道具を置かない、エレベーターではお客様を優先する、病院での清掃中に医師が入室された場合には作業を止めて退出するといったことが挙げられます。清掃の仕事はもちろん環境を美しく保つことが目的ですが、場の状況に応じた柔軟な対応も求められることが多くあります。無理に作業を進めることでお客様にご迷惑をかけることがないよう、十分に気をつけましょう。
まとめ
今回は、清掃の仕事において重要となるマナーについて詳しく解説いたしました。清掃スタッフのマナーは、ここでご紹介したもの以外にも、それぞれの現場の特性に応じて様々なものが存在します。清掃スタッフの方々は、これらのマナーを常に意識しながら、その場に応じて柔軟に対応しています。清掃におけるマナーは、お客様を不快にさせないためのものでもありますが、何よりもお客様の安全を確保し、快適に過ごしていただくために定められた大切なルールでもあります。ただ単に掃除をするだけでなく、このようなマナーを遵守し、お客様と信頼関係を築くことで、仕事のやりがいを一層高めることができるのではないでしょうか。

